料理は材料に火を通す事に大きな目的がある。その火を通す方法として、煮る、茹でる、焼く、炒める、揚げる、蒸す、炊く、燻す等々、最近では高周波、レーザー、遠赤外線、さらに熱作用と同じ作用を得る加圧調理法がある。これらの調理法を穿った見方をすれば!

1.焼き物は直接高温の熱が素材に触れ、火が通り焼目が付く間、水分を蒸発させ、脂肪をとかしドリップを滴化させ、強制的に酸化させ、乾燥しているように見える。冷えれば固くなるのは当然である。

2.揚げ物は高温の油の中で、火が通る間、素材の水分やドリップは油の中で抜け、蒸発して行く、その水分等は油を酸化させ痛める作用をして行く、焼物と同様である。

3.煮る、茹でるも、水を熱媒体とし、素材の温度を上げ、調理を行う間、素材の持つ旨味成分が水中に流出し、場合により組織に水分を吸収し、そのものの旨み、美味しさを失う事になっている。

4.中華料理で多く使う高温の油で炒める方法についても、熱加工の視点から見れば、合理的な方法とは思えない。素材に熱を伝え美味しく食べる条件が出来、仕上がった直後にすぐ食べる料理の1つならばともかく、まして時間を置いて食べる料理、大量の調理品ならば、もう少し工夫した熱加工の調理方法を応用すべきと思える。それぞれの調理を行う場合、素材に最善の火が通っていれば、焼物は表面に焼目を付けるだけで良く、揚げる場合には衣に色が付けば仕上がり、煮る場合には素材の柔らかさを出し、味が浸透すれば良い事になる。炒める場合にも油を絡め表面を炒める程度で短時間に終わる。素材を最善な前処理を行い、旨味、美味しさを最大限に引き出して置き、目的の料理、食品に仕上げる方法を採ったらどんなメリットが生まれて来るのか、料理時間や手間、さらに調理場はどの様に変わって行くのか、材料の歩度まり、貯蔵法にも変化が生じるかも知れない。