調理の段階で素材に調味料を浸透させる必要がある。これは調味液に素材を浸漬して置く方法と煮る方法が採られ、煮る場合は調味液を沸騰させ圧力の差によって浸透させる、浸透圧方式が一般的である。もう一方で調味液と共に加熱したものを一緒に自然冷却すれば浸透が良くなる事を経験的に知っている。ものは加熱すれば膨張し、冷却すれば収縮する。この物理的現象を利用し、素材をスチーミングにより加熱し、素材と調味液を適度な温度差に保ち、浸浸しながら温度を下げれば、極めて良い状態で調味料が浸透する事になる。素材その物の風味が活き、煮崩れする事も無く、食感が向上し、調味料の香りも生き、しかも短時間に作業は終了する。調理の内容により、素材を生の状態で調味液に浸漬し、下味を染み込ませる方法を採るが、こうした方法よりも適切なスチーミングを先に行い、それから調味液に浸漬する方が浸透も良く、素材の風味が生きて来る。素材の風味、調味の美味しさは、舌で感じるよりも、口から鼻に通じて感じる香りが何よりも大切である。その香りは熱により極めて大きな影響を受ける。沸騰させ調味を行うのは香りを飛ばしながら味を浸透させる方法の様にも見える。