近年、スチームコンベクションと共にもたらされた調理技術に真空低温調理がある。素材組織や成分を出来るだけ破壊せず、熱変性させ日持ちの良い、良質な食物を作る技術として導入してきたものである。ところが実際に取り組んだ方の中には、特定な料理には良いが、不十分なものと評価せず、中断してしまった方々も多くいる。過去に行われてきた真空停滞調理法が停滞したのは3)で説明したが、素材を生の状態で密閉し加熱すると、素材に含まれる好ましくない成分も閉じ込めた状態で加熱が続けられ、その成分の悪変により、全体を汚染し、ある特有な味、臭気が付いてしまう事である。最初に素材のあくを生成する成分、揮発性脂肪酸などを除去し真空加熱すれば全く美味しさの違った食物に変わる。素材をそれぞれ適正な温度でスチーミングを行い、特に熟成効果を最大限に活かし調味液と共に適正な温度で加熱すれば殺菌と同時に煮熟が行われる。真空包装後の殺菌も低温スチーミングにより行う事が出来る。真空についてあまり拘る事なく、空気と接触しない脱気の考えに立てば、湯気のような蒸気を包装空間に入れてひゃしても比較的簡単に脱気容器の加熱が出来る。低温スチーミングと真空、脱気低温調理法と組み合わせる事で、今までとは全く異なった調理技術となり、新しい食物、調理品が生み出されて来ると思われる。