多くは何らかの方法で加熱して食べる。加熱の上手、下手は品種、農法の違いを超える美味しさの違いを生じさせる。又、生で食べる野菜はその食感や香りを味あうために、生のままであることを常識としているが、上手な加熱は生の食感を失わず、さらに香りを良くすることも可能なのである。上手に低温スチーミング加工したものは、例えばにんじんやピーマンの嫌いな子供も、一度その美味しさを知ると喜んで食べるようになる。また、きゅうりやモヤシは時間が経過すると生臭みを感じるが、その臭みを完全になくすことができ、甘味が向上する。低温スチームした野菜は、子供はもちろん大人でも野菜嫌いが直り、野菜嫌いが嘘であったように好んで食べるようになった話を聞く。プロは本調理の前に、手間を掛け、下処理をした食材を準備し、本調理は短時間に簡単に仕上げる。このような加工処理を行う量産技術がすでに確立されており、消費者ニーズも生まれている。冷蔵庫の中にプロの料理人と同様の下処理した各種の野菜材料があり、その野菜は本来の風味を活かしたまま火が通り、生の食感が十分残り、ほど良い柔らかさに仕上がって安全に保存してあれば、野菜を食べたいと思った時に、極めて簡単に調理できる。サラダ風に、また炒めても良く、だし汁を入れ一煮立ちすれば煮物ができ上がり、汁物はカットして入れ、温めるだけで美味しく、自然に多く食べることができる。現在野菜の売場には本来の風味を活かし、美味しい下処理した野菜材料や加熱済みの商品は殆ど売られていない。一部の野菜はカット野菜として売場に並ぶようになってはいるが、美味しさの視点からは程遠いものである。プロ同様の下処理した野菜食材の販売は可能ではあるが、今は微々たる動きである。だが、今一部の商社では、この加工技術を利用して野菜ビジネスの今後のあり方に注目し、良質な加熱済みの野菜食材の販売準備を進めている。